鍼灸って何故効くの?
- kaeru-club
- 2024年5月28日
- 読了時間: 3分
患者さんから、必ずと言っていいほど
『鍼ってなんで効くの?』とよく聞かれます。
“気”とか“陰陽五行”などの言葉を交えて東洋医学の側面から説明する事が多いのですが
ここでは鍼灸の効用を生理学の側面から
ごく簡単に説明したいと思います。
科学的エビデンスと研究
- 臨床試験: ランダム化比較試験(RCT)などの臨床研究が行われており、慢性疼痛、頭痛、腰痛、膝の変形性関節症、不眠症などの症状に対する鍼治療の有効性が示されています。
- メタアナリシス: 複数の研究結果を統合したメタアナリシスによっても、鍼治療が特定の症状に対してプラセボ以上の効果を持つことが確認されています。
1. 神経系の調整
- 神経伝達物質の放出: 鍼刺激が神経を通じて脳に伝わると、エンドルフィン、セロトニン、ノルアドレナリンなどの神経伝達物質の放出が促されます。これらの物質は、痛みの感覚を和らげ、リラックス効果を生み出します。
- 神経路の活性化: 鍼刺激が脳や脊髄の神経路を活性化し、痛みの信号をブロックすることで、鎮痛効果を発揮します。
2. 血流の改善
- 血管拡張: 鍼刺激により局所的な血流が改善されます。血管が拡張し、酸素や栄養素が豊富な血液が患部に供給されることで、組織の修復が促進されます。
- 炎症の軽減: 鍼治療が免疫系を調整し、炎症性サイトカインの分泌を抑制することで、炎症が軽減されると考えられています。
3. 筋肉の緊張緩和
- トリガーポイントの解除: 筋肉の緊張や痙攣を引き起こすトリガーポイントに鍼を刺すことで、筋肉の緊張が緩和され、痛みやこりが解消されます。
- 筋膜リリース: 鍼が筋膜に作用し、筋膜の張りや歪みを整えることで、全身のバランスが改善されます。
4. 内分泌系と免疫系への影響
- ホルモン分泌の調整: 鍼刺激が視床下部-下垂体-副腎軸(HPA軸)に作用し、ストレスホルモンの分泌を調整することで、ストレスの軽減や全身のホルモンバランスを整えます。
- 免疫機能の向上: 鍼治療が白血球やその他の免疫細胞の活動を活性化し、免疫機能を強化する効果があります。
5. 脳機能の調整
- 脳波の変化: 鍼治療によりアルファ波やシータ波などのリラックス時に出現する脳波が増加し、リラクゼーション効果が得られます。
- 神経可塑性の促進: 鍼治療が脳の神経回路の再編成を促進し、痛みの認知や処理方法に変化をもたらすと考えられています
昨今では西洋医学の視点からも鍼灸の効果が認められつつあり、そのメカニズムについても様々な研究が進められています。これにより、鍼灸は補完代替医療として広く受け入れられています。
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